日本のテクニック・うそほんと チルドレンレーサーのために
アルペンスキーテクニック 日本の教え方に関するうそほんと
なんてタイトルで書いてみた。

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ウィスラーカップに日本のトップのチルドレンクラス(U14-U16:12歳~16歳)を引率して8年になる。そして毎年同じ結果を目のあたりにしてきた。
それは、とてもうれしくもあり、残念なのですが、U14では日本はとても強く、毎年必ず優勝し、ここ2年は国別ポイントでも優勝している。

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しかし、U16ではtop10に入るのも厳しいのです。U14で優勝した子がU16で戻ってきても、10位に入るのがやっとだったりします。(今年は荒井美桜選手がGSで2位に入りました!)
一昔前はジュニア世界選手権で優勝したり、入賞したりしてもヨーロッパカップやワールドカップに行くと…といわれていたが、さらに低年齢化が進み、今は日本で世界に通用するのはU14になってしまったようです。

それはなぜか。
この数年、世界のチルドレンレーサーと日本の同年代を見比べてきて、わかったことがあるので、それをわかりやすく書いてみようと思う。
基本的には問題点は、人種や体格ではなく、すべては子供たちがやろうとしているテクニックに行きつく。主に、子供たちがやろうとしているテクニックというのは、コーチが教えているテクニックであり、僕自身も元世界チャンピオンのマルコ・ビュッヘルやテッド・リゲティが来日した際に同行して一緒に日本のコーチたちと話した際にも明確になった世界と日本の教え方(テクニック論)の“ずれ”だ。

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基本となるテクニック
簡単に書くと、僕が一番重要で、基本だと思っているのが、スキーを“たわませる”ことだ。
チルドレン世代に、この”たわませる”ためにはどうしたらいいか、という基本的な動きを繰り返し行い、体にしみこませておくと、身体が成長して体重も増えて来るジュニア時代(FIS世代)になった時に、しっかりとした動きのあるスキーができるようになるのである。
何故スキーを“たわませ”なければならないのか?
それは直線的なライン取りをするためです。

基礎スキーと違い、アルペンスキーはタイムがすべてです。ポールとポールを結んだ線と同じラインを通れれば、理論上一番早いわけです。でも、いきなりロスなく方向を変えられないので、ターンというものをします。
ターン弧がきれいで小さければ小さいほど、より直線的なライン取りができます。
では、ターン弧を小さくするためにはどうしたらいいのか?
それはスキーをたわませるのです。たわませれば、スキー自体が持っているサイドカーブよりもよりカーブをきつくでき、小さい弧を描けるのです。

“たわませる”ためにはどうしたらいいのか、それは上下動(屈伸運動)をするしかありません。
基本はそれだけです。
基本的にはトランポリンの動きです。スキーのしなりを使って、トランポリンでより深く沈み込むのです。そのためにはより高いところから来ないと、より下まではいけません。
スキーも一緒です。それが僕の言うスキーを“たわませる”唯一の方法です。
トランポリンとスキーも一緒で、いきなり第一ターンからはスキーはたわませられません。
徐々に大きくたわませていくのです。

ですから、上下動をしっかりと行い、ターンとターンの間ではしっかりと立ち上がり、ターンの時にはしっかりと乗る。
その動きをチルドレン世代に繰り返し行い、どんなターンをしてもその動きをするように“下意識”に刷り込ませるのです。
そうすれば、身体ができてきて、体重が増えてきたときにしっかりとスキーがたわむようになります。
よく、“谷側に立ち上がれ”といわれますが、まず第一ステップとしては立ち上がることが重要で、どっち方向、というのは重要ではないのです。山側でも谷側でも立ち上がることをしっかりと体に刷り込ませるべきです。
後程書きますが、立ち上がる動きさえできていれば、谷側に立ち上がるのは、ちょっとしたことで、全く考えなくても自動的にできるようになるからです

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ここで、僕が日本のコーチたちから聞いた日本で言われているテクニックのウソとホントを書きましょう。海外のコーチは鼻で笑ってしまうようなテクニック論が、実は日本では真面目な顔をして教えられていて、それが日本のジュニアを違う方向に導いているのです。

テクニックうそほんと その1

『スキーを踏む』

これは運動力学的に考えればわかると思う。立った状態でいくらスキーを踏んでも、力は生まれないのです。
できるのは悔しくて地団駄を踏むぐらい???
スキーは“たわませる”のであって、踏んでたわむわけではないのです。
子どもたちにはわかりやすく、トランポリンを想像させます。
立った状態でいきなり踏んでも、下まで行けないでしょう?それと一緒で、動いてないところからスキーを踏んでも、スキーは“たわまない”のです。

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テクニックうそほんと その2

『頭を動かさない』


これは上下動をしない、ということになってしまいます。
確かにワールドカップ選手たちの頭はあまり上下していません。でもそれは世界最高峰のテクニックとして、無駄なものが削り落とされて行き着いた動きであり、残念ながらそれを真似しても同じ動きにはならないのです。なぜならそこに上下動がなくなるからです。
ワールドカップ選手は力学的には上下動をしたうえで、頭を動かさずに済んでいるけど、それをチルドレンレーサー達がいきなり真似られるわけもなく、結果、動かない、というだけの滑りになってしまいます。
動かない=スキーがたわまない
ということになります。ワールドカップ選手たちはスキーをたわませています。

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テクニックうそほんと その3

『ターンが終わったら抱えこむ(沈み込む)』

確かにこれはテクニックの一つとしては存在します。でもいくつかあるオプションプランの一つであり、毎回使うテクニックでもなく、本来の使い方をしないと全く逆の動きになってしまいます。ほとんどの日本のスキーヤーは逆の動きです
本来であれば、抱え込み抜重であるべきで、それはスキーの跳ね返りがあって初めて意味をなします。
申し訳ありませんが、技術選とかの滑りを見たけど、ほとんどスキーの跳ね返りを使った抱え込みではなく、どちらかというと腰を落とした、ただ単なる沈み込み、になっています。なぜそんな滑りをするのかはわかりませんが…。
チルドレンレーサーにもポールとポールの間で沈み込むことを教えていたコーチがいました。確かにスキーがしっかりと“たわんで”、しかし次のポールまでにその反動を活かすだけのスペースがない場合、抱え込みをして次のターンへ急ぐときはあります。しかしそれはたまに行うテクニックであり、基本となるテクニックではないのです。

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テクニックうそほんと その4

『膝を入れる』

基本的には膝は常にそれぞれのスキーのトップに向かって動きます。右ひざなら右スキーのトップに向かってです。膝を内側に入れないのです。
カービングスキーになり、角付けをするとすぐにターンが始まるので、膝をターンの前半に内側に言える人がいますが、アルペンスキーでは基本行いません。
身体全体をーンの前半に内側に傾け、その角度でエッジ角を作るのです。膝ではなくて体全体で。
正面を向いて屈伸運動をしているのと同じように、身体が傾いても、膝の動く方向を変えてはいけないのです。膝は基本的にはまっすぐ動きます。

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テクニックうそほんと その5

『手を前に出した中腰の姿勢が基本姿勢』

子どもたちに基本姿勢(ニュートラルなポジション)になって、というと、8割ぐらいの子たちが中腰で手を前に出した姿勢になります。
彼らはこの中腰姿勢からターンに入り、またその姿勢に戻ってくるものだと思っているようなのです。
中腰から動いても、中ぐらいの力しか生まれません。ということは、中ぐらいしかスキーはたわまないのです。
中ぐらいしかスキーがたわまなかったら、もっとたわませられる選手の方が、より直線的なライン取りができ、タイムも伸びる。これは当たり前の話です。

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テクニックうそほんと その6

『クローチング』

日本でクローチング姿勢を組ませると、みんなDHの時のようなクローチングを組みます。一番空気抵抗の少ない、いわゆる“卵型”です。でも、その姿勢はほとんど使いません。
ダウンヒルレースか、よっぽどのコース前の直線だけです。
でもクローチングターンはGSでもSGでもよく使われます。腰高の姿勢で上半身だけクローチング姿勢を組むのです。意外とその練習をしていないようです。

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これを読んだU16以下の選手や関係者、父兄の方がいたら、一度考えてみてください。
本当にスキーで早く滑るために、何をすべきなのか。

欧米では基本的な動きとして、ターンと一緒に動くことを教えます。ターン弧に合わせた体の動きです。
日本のスキーは、どうしても“型”を求めているように思えます。”ポールのところでこういう格好をしろ“みたいな。

できれば”型“ではなく、本質に基づいたスキー技術をチルドレン世代から教えないと、将来、技術選には行けてもワールドカップには行けません。

文字で書くだけだと、説明するのが難しいですね。そのうち図解入りにしよう・・・。

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by gakuhirasawa | 2013-04-11 12:46 | ski
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